ケーキ屋

一体何の会議に出席しているのだろうか?
町内会か、ケーキ組合か、はたまたサラリーマンが本業で、今日は「どうしても大事な」会議があったのかもしれない。
在宅ワーカーも出席しなきゃいけない類いの。
それにしてもお客さんに会議である事をわざわざ知らせなければいけないのはなぜだろう。
一言臨時休業と書けば済む話だろうに。
もしかしたら常連さんの間ではお馴染みなのかもしれない。
「ありゃ、今日会議かー」
「おや、どうしたんだい熊さん」
「お、いやね、大将また会議いっちめぇやがったみてぇなんだよ」
「またかい。まあ大将の会議好きは今に始まった事じゃないからねぇ」
「違ぇねぇ。とは言えここんとこやたらと多くねぇか?」
「なんでも嫁さんが子供連れて田舎に帰っちまったらしいじゃないか。それでヤケになってるんじゃないのかねぇ」
「え、お絹さんとうとう。そうかー。しかし全くケーキ屋が会議好きなんてついぞ聞いた事がねぇや」
「全くだねぇ。もっともケーキ屋の主人を大将って呼ぶあたしたちもあたしたちだけど」
「違ぇねぇやw」
「ところで熊さん」「おう?」「この後・・・どうだい?」「おう、いいぜ」「さすが両刀使いは話がわかるね」「それを言ったら大将なんかケーキのナイフも使うから三刀使いだぜ」「うまい事言うね熊さんは」「ハーハッハッハ」「はっはっはっは」
お後がよろしいようで。