GBK

耳かきをしていたら、どうやら耳垢が奥に入ってしまったらしく、取り出せない上に聞こえが悪くなってしまった。
子供もなんだか鼻水が止まらない。
駅前に耳鼻科があるというので親子三人で行った。
俺はついでだから花粉症の対策も施されたいななどと思った。


院内に入ってみると既に多くの靴が置かれている。
しかし割と広めの待合室には誰もいない。
どうなってんだ、こりゃ?
しばらく待っていたら診察室から一人また一人と患者が出てくる。
恐らく直前待合室みたいなものがあるのだろう。
10分ぐらい待つと我々の名前が読み上げられたので、ドアを開けて中に入った。
ばってん、予想とはちょっと違っていた。
診察スペースがあって、簡単なボードか何かで仕切られた直前待合室があるのだと思っていたのだが、むき出しだった。
つまり医師が他の人を診察している様が丸見えなのである。
患者側は例えるならば野球で、バッターがネクストバッターズサークルで自分の打順を待つような感じで、あたかも準備万端いつでも行けるぜという気分になる。
一応患者とネクスト患者ズシートにいる人たちは同じ方向を向いているので、厳密には丸見えではないのだが、どんな治療をされているかはなんとなくわかるので、もうなんていうかプライバシーとかそういう発想が無い。
しかもむき出しなせいでそれまで大人しくしていた子供が不穏な光景を目の当たりにし、急にそわそわしだすなどして困る。
たぶんメリットとしては患者の出入りとかで余計な時間をとられずに済み、迅速な診療が行われる事ではないだろうか。
そしてそのメリットを意識した事に加えて、診察椅子の背中に、ネクスト患者ズシートに控える患者たちの無言のプレッシャーを感じ、花粉症の話はできずじまいだった。
なんというか異空間、だった。