メイディンジャパンメディジャパン

これは高校時代の友人から聞いた話である。
その日彼らはテニスの試合のため、とある高校に向かっていた。
埼玉県くんだりでは電車やバスでは行けない所に高校がおっ建っている事がしばしばあり、その場合タクシーを使うしかない。
豪気な事だが、それしか方法が無いのだから仕方がない。
そんなわけでタクシーに乗った彼らは当時リリースされたばかりのV6の曲の話題で盛り上がっていた。
その曲は『wa になっておどろう』という曲である。
この曲はサビで

Oh〜さぁwaになっておどろう

となるのだが、これは大沢になっておどろうとも聞こえ、テニス部に大沢がいたこともあって大いに盛り上がったという。
そんな状況でもタクシーの運転手さんはしかめっ面だったという。
当然である。
高校生のガキのそんな愚にもつかない話で笑えるものか。
ましてや大沢という友人がいる事など知ったこっちゃないし、もっと言えばその曲を聴いたことが無かったかもしれない。
いずれにしてもこの程度の事で笑っていたら、タクシーの運転手など務まらないに違いない。
しかし目的地の隣のコンビニを目前にして運転手さんは突然笑いだした。
運転手さんの視線はコンビニの入口付近でひもにつながれたゴールデンレトリバークラスの大型犬が後脚で立ち上がり、高校生とがっぷり四つに組んでいるという光景に注がれていた。
そしてその高校生は僕だったという。