salyu × salyu『s(o)un(d)beams』

小山田圭吾がプロデュースしたsalyuの新作アルバム、3ヶ月遅れではあるが聴いた。
名義としてはsalyu × salyu(サリュバイサリュ)として従来のシンガーsalyuとは別プロジェクトという位置付け。


というか従来のシンガーsalyuをほとんど聴いた事がない。
岩井俊二による映画『リリィ・シュシュのすべて』でリリィ・シュシュの歌声を担当していたのはもはや言わずもがなだが、いかんせん細部を覚えていない。
なので、当然ながら小山田圭吾全面プロデュース作品という視点で手に取った。


で、その小山田圭吾=コーネリアスはここ2作、2001年の『point』と2006年の『SENSUOS』で革新を成し遂げている。
簡単に言うとサウンドコラージュ、つまり様々な音を断片化し再配置する事で、実験的かつポップというとんでもない世界を創り上げた。
サウンドコラージュ自体は他にもやっている人がいて、例えばprefuse 73は曲を短く繋げまくるカットアップというDJ的手法を使っている。
何やってるかよくわからない、やり過ぎなエクストリーム感が刺激的なサウンドになっている。
一方小山田圭吾は基本自前で録った音を使っている。
但しバラ録り。
ギターなら一音ずつ、ボーカルなら歌詞一文字分ずつとか(もちろん全部じゃないけど)。
これを複雑なリズムとレイヤリング(そんな言葉無いか)、そして何より聴くだけで小山田とわかる音色*1で味付けする。
代名詞的な音を持ってる人って憧れるよね、harakamiとか…。


そんでまぁ、どうせ今回も素晴らしいアルバムなんだろうなぁと思って聴いてみたら、これがびっくりsalyuのボーカルが想像以上じゃないですか。
勝手にウィスパー系かしらとか思ってたけど、すごく声量があるのね。
特に中域はハリがあって、ツヤがあってとっても素敵なの。
かと思えば柔らかい歌い方をしたりして、もう惚れそうよ。
それからワンフレーズの最後をスタッカートで終わらせる事が多くてこれもとってもかわいいわ。


そういうわけでsalyuの事が気になってしょうがなくなってきたので、過去作を聴いてみたいんだけど、慎重に選ばないと絶対に失敗するに違いない。
なんせ小林武史ファミリーでしょ?
俺まともに聴く自信無いは。
あんな王道絶対途中で飽きる。
誰か知ってる人がいたらお薦めのアルバムを教えてくれないもんだろうか。
失敗したら二度と聴かなさそうだから。

*1:おんしょく、と読みます。ねいろ、は情緒的な意味を帯びていますが、おんしょくはもっと物理的なニュアンスです。このブログでは断りの無い場合以外常におんしょくです。