チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

福島の25年後と相似形をなす可能性もあるチェルノブイリが現在どうなっているかを知る上で重要な一冊。
そしてこの本の最大のテーマはダークツーリズム。
東浩紀福島第一原発を観光地にと言い出した時は、またアホな事言い出した、被災者の気持ちを考えろと思ったけど、よく考えたら広島も観光地化されてるし、そこまで突飛な発想じゃなかったな、と思い直している。
東、津田大介開沼博速水健朗ら一行は政府の人間からいわゆる帰還住民にも取材を行っている。
ガイドの注意を聞いていれば東京にいるのとさして変わらない程度の放射線量しか受けない、という文章を見るだに、福島第一原発周辺はもう人が住めない場所なんだから、放射性廃棄物の保管場所にしてしまおうというのは、やや短絡的で乱暴な気がしてくる。
また関係者や近隣の住民は皆口を揃えてどんな形であれ、チェルノブイリに関心が集まる事を望んでいると言う。
忘れられていない、見放されていないと感じられる事がその理由のようだ。
人は悲しいくらい忘れていく生き物なんだな。