APOGEE『Out Of Blue』

APOGEE5年ぶりの4thアルバムリリース。
俺がAPOGEEを知ったのは確か4年くらい前なので、ニューアルバムがリリースされる!ひゃっほーい!っていう気持ちになるのは今回が初めて。
更に昨年リリースされていたシングル『Fall Into The Sky』が非の打ち所がないくらいに、俺がAPOGEEに求めている要素を満たした曲だったため、否が応でも増す期待。
8/5とうとうアルバムリリース、しかしこれが評価の難しい作品になっている。


1曲目、『Runaway Summer』冒頭、硬質なSEのビートから始まる。
あ、この曲は4/29のワンマンでも演奏していたような気がするぞ!
APOGEEと打ち込みは相性がいいようだ。
と思ったのも束の間、どうも様子がおかしい。
ライブで聴いたよりも80'sリバイバル感が強い。
更に言うと音場に奥行きが無い?
音も全体的にかなりつぶした様な質感になっている。
2曲目『Tonight』も質感は変わらず。
しかも、えー、これはチルウェイブ?
この調子で行ったら『Fall Into The Sky』はどうなるの?
あの曲だけ全然違う感じだけど、合わせてあるの?それともそのままなの?
3曲目『Losing You』、これも前のライブでやってた。
シャッフルでハイテンポ、珍しく疾走感のあるロックな曲だった。
この曲もやはりエレクトロニックな感じで若干印象が違う。
『Fall Into The Sky』は6曲目、その前にPVが作られ一足先にオープンになっていた5曲目『Twilight Arrow』は音に隙間があるからかつぶれた感じがあまりしなかった。
良い傾向だ。
そして『Fall Into The Sky』、あー、そのまんまだー。
質感合わせるとかそういう事は行われてねー。


アルバムを最後まで聴いて改めて思ったのは『Fall Into The Sky』が浮きまくってる。
浮遊感とかそういう事でなく、存在が(浮遊感もあるが)。
別に80'sリバイバルでエレクトロニックな方向性が受け付けないっていうわけじゃない。
これはこれでありだなと。
ただじゃあ先行して出した『Fall Into The Sky』の落とし前はどう付けるんだと。
上述した様に『Fall Into The Sky』は非の打ち所がないと思っている。
俺が好きなAPOGEEの要素は①黒いリズム②グルーヴィなベース③奇抜な音色のシンセ④歌⑤空間の奥行きが感じられる音場、てなとこか。
先行シングルがこの全てを満たしてるんだからアルバムもその路線を期待するのが人情というものだ。
しかしアルバム全体で見ると③と④しか無い。
前作『夢幻タワー』を聴いた時のがっかり感は無いが、正直戸惑っている。
と言うか今APOGEEがこの路線で行く必然性があるのか?
遅れてるとまでは言い切れないが最先端ではない、この路線で。
仮に5年前にこの感じをやってたら、おー!こう来たか!って思うだろうけど、今聴いても、おー、こう来たかー…、くらいにしか思えないの。
救いは恐らくこれがライブではまた違った印象になるであろう事。
だがその肝心のライブも現時点でアナウンスされているのはブッキングされた対バン企画のみで、レコ発ワンマンとかツアーとかはあるのか無いのかすらよくわからない。
いくらメンバー2人が学生になったからって単発のライブくらいは組めるだろ。
あー、もやもやする。


書ききれなかった諸々
・ドラムがとうとう打ち込みになってしまった模様
前回のライブの開演前、同行した会社の後輩が「基本みんなうまいけど、ドラムは下手ですよね」と言っていて、「下手・・までいくかな?普通じゃない?」と答えたが、終演後「ドラムは下手だね」、「ですよね!」などとというやり取りをしたっけ。
しかし30台後半で医学部通い始めるとか凄いな・・・。
・ギターが小さい
とはいえそれは前からだしな、と思って過去音源を聴いたらそこまで小さくなかった。
どんだけ小さいの!
・ピアノ
ピアノ音色が全く使われていない。
少なくとも聴き取れなかった。
極端!
・ライブ盤またはライブDVD
ライブはCDより良いはず、と上述したが、録音作品としてはこのアルバムが残るので、是非ライブ盤かライブDVDを出してほしい。
そうじゃないと一面的にしかこのアルバムが評価されない。
というかなんでライブDVD出さねぇんだよ、出せよ!