格差社会に敢然と立ち向かう紅茶小僧

僕の働いている会社にはアルバイトが結構働いている。
アルバイトと言っても若い人よりは結構歳いった人が目立つ。
そんな中には少し変わった人もいて、この真冬でも半袖のTシャツ一枚、下も短パンという最近は小学生でももう少し厚着だろって格好の人で、しかもいがぐり頭。
そんな小学生のまま歳をとったような人がいたりする。
本当に一昔前のマンガに出てきそうな風体だ。
しかし驚くべきことにその彼は昼は社食でマイ紅茶セットを取り出し、優雅に紅茶を楽しんでいるのである。
なんという心の余裕だろうか。
服にかけるお金を削ってまで紅茶を楽しんでいるのか、寒いのには耐えられるからその分を紅茶に回せるのか、細かい事はわからないが、こういう豊かさもあるのかなどと思った。
僕は敬意を表して、彼の事を紅茶王子と心の中で呼ぶことにした。
そう決めた矢先、彼の半袖のTシャツの背中からブラジャーのストラップのようなものが透けているのを目撃してしまった。
なんと彼は彼女だったのである。
今流行りの「優しくなれる」という男性用ブラジャーという可能性も否定できないが、僕は紅茶王女に呼び名を変更することに決めたのだった。