気付いたら勝者

ある日の会社帰り、駅までの道を歩いていると向こうから自転車が走って来るのに気付いた。
自転車には欧米人と見られる人が乗っていて、両者がこのままのコースを進めばぶつかりそうな状態だった。
しかも自転車の方は結構スピードが出ていて、下手に避けたら同じ方向→激突なんて姿が想像できたので、その場に立ち止まる事にした。
人が3人くらい並んだらいっぱいになるくらいの広くない歩道のほぼ真ん中を歩いてたから、普通なら端によるべき所だけど、後は自転車に選択を委ねるしかない。
頼むよ、上手く避けてね…あれ?避けな、あー!


は、無事だったか…。
あの野郎、減速どころかむしろペダル踏んでやがったし、ギリギリで避けやがった。
しかもその時の顔!物凄く挑発的な顔だった。
あれはまるで「HA!なるほど避けないんだな!この俺様相手にチキンレースを仕掛けようたぁいい度胸だZE!」とでも思っていそうだった。
で、仮に今のがチキンレースだったとすると俺は勝者というわけか。
たは、勝者…。
なんて所まで思いが至った所でようやく後ろを振り返ったが、当然ながら欧米人の背中は遥か向こうに遠のいていた。


たは、勝者…。